•鯉のぼりの鯉の色の意味
•鯉の色の移り変わり
•鯉のぼりを飾る意味や由来
鯉のぼり鯉の色が表す意味
•鯉の色の移り変わり
•江戸時代の意味
•明治時代の意味
•戦後の意味
•現代の意味
鯉の色の移り変わり
鯉のぼりの鯉の色は時代によって変化しています。
●鯉の色の移り変わり
•江戸=黒のみ
•明治=黒・赤(緋色)
•戦後=黒・赤・青
•現代=黒・赤・青・緑・オレンジ・ピンクなど
鯉のぼりをあげる風習が始まったのは江戸時代。
当時は黒だけでした。
時代が流れるにつれ色が増えていきます。

江戸【黒】=長男
【江戸の鯉の色と意味】
•黒い鯉=後継の男の子
鯉のぼりの風習が始まった江戸時代は、鯉のぼりは黒1匹だけ飾られていました。
上の絵は1857年に歌川広重によって描かれた黒1匹の鯉のぼりです。
鯉のぼりは後継となる最初の男の子の誕生を祝い、厄除けのためにあげられていました。
当初はその男の子のことを表していたのです。
●鯉は元々「黒」だけ
鯉というと日本庭園にいる錦鯉のように綺麗な色が多いイメージ。
しかし、元々は鯉は黒のみだったのです。
黒い鯉=真鯉と言います。
江戸時代(1800年代初め)に鯉の養殖が行われるようになり、偶然生まれたのが緋鯉。
そこからカラフルな鯉がだんだんと生み出されていったのです。
明治【黒赤】=父子
【明治の鯉の色の意味】
•黒い鯉=父親
•赤い鯉=男の子ども
明治時代になると赤い鯉(緋鯉)も飾られるようになりました。
この頃は家父長制がとても強い時代でした。
※家父長制=家族で父親が絶対的権力を持つ状態
そのため男の子の前を泳ぐお手本かのように、黒い鯉を父親に見立てるようになりました。
そして当初黒い鯉だった男の子は赤い鯉になりました。
ちなみにこの赤い鯉は男の子の数により複数あげられることもありました。
戦後【黒赤青】=母父子
【戦後の鯉の色の意味】
•黒=父親
•赤=母親
•青=子どもたち
戦後になると、家父長制がだんだんと緩くなっていきました。
そして、男も女も平等に、家族全員が重視されるような時代に。
すると鯉のぼりが意味するものも変化し、「家族」を表すようになりました。
「お母さんも家族の一員なのに鯉のぼりにいないのは変」という考え方が強くなってきた時代です。
さらに男の子限定ではなく、女の子も含むようになってきます。
現代【カラフル】=家族
【現代の鯉の色の意味】
•黒=父親
•赤=母親
•青=長男
•ピンク=長女
•緑=次男
など
現在のこいのぼりも基本的には戦後と変わらず、家族を表します。
家族みんなを平等に扱う意識が強くなったことから、子どもの数だけ鯉の色を増やすことも。
これは家庭や地域によって様々です。
子どもの数によって増やせるように、現在ではピンクなどの鯉のぼりは単品でも売られています。


鯉のぼりの歌詞については別記事で詳しく解説しています。
鯉のぼりを飾る意味
•子→家族の健康を祈るように
•子どもの出世を祈る
•吹き流しを厄除けのお守りに

家族の健康を祈る
●鯉のぼりに込められた意味
=【子どもに鯉のように強くたくましく立派に育ってほしい】
鯉はたくましく縁起の良い生き物とされています。
それは他の魚と比べて水だけではなく汚れた沼や池でも生きることができ、生命力が強いから。
昔は子どもの健康を祈るものでした。
しかし、現代では家族みんなの健康を祈るものに変化してきています。
子どもの出世を願う
●鯉のぼりに込められた意味
=【子どもが社会で認められ成功できますように】
鯉は立身出世の象徴とも言われています。
立身出世の象徴と言われる理由 =中国故事の「鯉の滝登り」が起源です。
●中国故事「鯉の滝登り」
中国の黄河上流には、竜門という激流の滝があります。
これを登り切った魚は竜になれるという言い伝えがありました。
たくさんの魚が滝登りにチャレンジしましたがことごとく失敗。
そんな中鯉だけが滝登りに成功したのです。
その鯉は竜に変身して天に昇っていったという伝説があります。
中国では竜=皇帝の象徴でありとても縁起の良いものです。
魚から竜へと大出世を遂げた鯉のように、子どもにも立派になってほしいという思いが込められているのです。
吹き流しで厄除け
●吹き流し
=鯉のぼりの1番上のカラフルなひらひらとしたもの
吹き流しには魔除けの役割があります。
歴史は鯉のぼりよりも古く、戦国時代から魔除けとして使われていました。
このカラフルな色は中国の五行説に基づいていると言われています。
五行説とは
全ての物事は、木=青、火=赤、土=黄、金=白、水=黒が互いに助け合ったり、打ち消しあったりしながら成り立っているという思想。
「全て」を表す5色の吹流しは、悪いことから必ず守ってくれると考えられています。
「先頭で悪いものをよけてほしい。」
そんな意味で、鯉のぼりの1番上に飾られるようになったのです。
鯉のぼり=元はのぼり旗
元々は鯉の形をしていないただの布の幟(のぼり)旗と言われるものでした。
これは江戸時代に将軍の家に後継の男の子が生まれた時の印としてあげられていました。
庶民にも広まりましたが、のぼりをあげるのは禁止。
そこで縁起の良い鯉を描いた旗をあげるアイデアが生まれたのです。
これが鯉のぼりの風習の始まりです。
鯉のぼりは時代とともに変化
•鯉のぼりの色は【江戸=黒 明治=黒•赤 戦後=黒•赤•青 現代=カラフル】と変化。
•鯉のぼりの表すものの意味は【江戸=長男 明治=父•子 戦後=父•母•子 現代=家族】と変化。
•鯉のぼりには子どもの健やかな成長と立身出世を祈る意味が込められている。
•吹き流しには魔除けの意味がある。
鯉のぼりのデザインや意味は時代によって変化しています。
今後ももしかしたらその時代に合わせて変わるかもしれません。
少しずつ形を変えながらも、ずっと受け継がれて行って欲しい日本の古くからの素敵な風習だと思います。