・浦島太郎の実話の内容
・昔話と違う点を詳しく
・実話の浦島太郎から得る教訓
実話の内容と詳しい解説
浦島太郎の話は竜宮城に行ったり、玉手箱を開けたらおじいさんになったり…
とにかく現実離れした印象の昔話です。
しかし、実在したとされる浦島太郎の話は大きく違います。
話の流れから順に詳しく解説していきます。
実話とされる浦島太郎のあらすじ
昔あるところに、浦島太郎というその地域で力を持った有能な豪族がいました。
ある日、海で釣りをしていると亀が引っ掛かり、その亀を吊り上げたところ女の人に変身。
この人の名は「乙姫」でした。
乙姫は浦島太郎に、中国にある「蓬莱山」へ行くように促します。
蓬莱山は、古代中国では不老長寿の仙人が住んでおり、不老不死の願いがかなう不思議なパワーを秘めている場所として知られていました。
蓬莱山に存在する秘薬を求めて、秦の始皇帝も城を建てたと言われており、「不老不死の夢」を叶えられる、人間の憧れの場所だったのです。
乙姫の言う通り、蓬莱山に行った浦島太郎は蓬莱山で交易を行いました。
そして中国から日本に様々な物を持ち帰り、日本に新しい文化や物を届けたのです。
中国で目まぐるしい日々を送っていた浦島太郎。
気付けばかなり年をとっており、日本に帰ると周囲の様子もすっかり変わっていました。
日本に帰った浦島太郎は、中国との交易を行った功績が評価され、神様に仕える特別な人として周囲に崇められる存在となりました。
一般的な浦島太郎の話
私たちがよく知る浦島太郎の話をおさらいしましょう。
・浦島太郎はいじめられていた亀を助る
・亀に竜宮城に連れて行かれる
・乙姫をはじめとした美女にもてなされて宴会三昧
・お土産に絶対に開けてはいけない玉手箱を持って帰る
・玉手箱を開けたらおじいさんになってしまった
実在したとされる浦島太郎の話とはかなり内容が異なります。
浦島太郎の名前=浦嶋子
浦島太郎の本当の名前は浦嶋子(うらしまこ)でした。
浦島太郎が実話だったと言われている理由は「日本書紀」に、浦島太郎について記述があるためですが、その日本書紀には「浦嶋子(うらしまこ)」という名前で登場しているのです。
「子」というと女の人なのかと思ってしまいます。
しかし、古く日本では「聖徳太子」「小野妹子」などに「子」がつくことからわかるように、男の人に「子」をつけていました。
航海術に優れた豪族だった
昔話の浦島太郎といえば、ごく平凡なお兄さん(漁師と言う説もあり)をイメージしますよね。
実話での浦島太郎こと浦嶋子は、航海術に非常に優れ、海外との交易を積極的に行った、有能な豪族であったとされています。
浦嶋子のお墓だとされている、丹後半島の大風呂南墳墓の出土品に「ガラスの釧(手首などにはめるアクセサリーみたいなもの)」があります。
このガラスの釧は、当時日本には作る材料も技術もないもの。
つまり、中国で作られ持ち帰られたと考えられています。
そのことから浦嶋子は巧みな航海術で、日本海から東シナ海に出て、積極的に中国とも交易を行った「やり手の豪族」であったことが分かったのです。
それを象徴するかのように浦嶋子の墓は船の形をしています。
昔は一度航海に出ると数年は帰ってくることができませんでした。
中国に渡り、帰ってきた頃には浦嶋子も年をとっており、まさに「浦島太郎状態」になっていました。
「竜宮城から帰ってきて玉手箱をあけたらおじいさんになった」という話は、そこからできたと考えられます。
玉手箱の中身はお化粧道具だった
浦島太郎の話に出てくる玉手箱とされるものが、京都の浦嶋神社に保管されています。
昔話の中では、玉手箱の中身は煙でしたが、実際の中身は髪をとくためのクシ、小物入れ、鏡などのお化粧道具でした。
なぜ男性の浦島太郎がお化粧道具セットの玉手箱を渡されたのでしょうか。
それは、神様に仕える人物として相応しい身なりにするためです。
古く日本では化粧をする=神様に仕えるという意味がありました。
化粧で顔を変えると聖なる力が宿ると言われていたためです。
つまり、浦島太郎は神様に仕える特別な存在になるために化粧道具を渡されたのです。
実在する浦島太郎はそれほど、有能なリーダーであると認められていたと言うことになります。
実話の浦島太郎の教訓
私たちがよく知る浦島太郎の話は「うまい話には必ず裏がある」ということ教訓としているかのような話です。
しかし実話の浦島太郎は、全く違う教訓を得ることができます。
それは、「立派なことをして功績を残すと大きな評価が得られる」
乙姫から得た情報をもとに中国に渡り、交易の発展に貢献すると言う大きな功績を残し、人々にリーダーとして認められ、神様に仕える存在になった浦島太郎。
昔話の浦島太郎とは違い、ポジティブな教訓を得られる内容です。
浦島太郎は立派な功績を残して評価されたリーダー
●浦島太郎の名前は浦嶋子
●浦島太郎は巧みな航海術によって、中国に渡り積極的に交易を行った有能な豪族
●玉手箱の中身は、化粧道具であり、神様に仕える準備に使う重要なもの
●中国に渡って帰国するまでにかなりの年月が経過し、その間に自身も、周囲の状況も変わっていたことから「玉手箱を開けるとおじいさんになった」という伝説ができた
●浦島太郎は海外交易にの発展に貢献したとして評価され、神に仕える特別な人物として周囲に崇められる存在になった
実話の浦島太郎は、「立派なことをして功績を残すと大きな評価が得られる」ということが表されている、ひと味違ったとても素晴らしい話なのです。