こどもの日の食べ物の意味と由来|関西はちまきで関東は柏餅が定番

こどもの日や端午の節句の食べ物と言えば、ちまきや柏餅が浮かぶ人が多いと思います。ちまきにはけがれや厄を払う意味があり、柏餅には子孫繁栄を願う意味があります。どちらもこどもの日や端午の節句のお祝いにふさわしい、縁起の良い食べ物です。

一般的にちまきは関西で、柏餅は関東で食べられています。それぞれ意味は異なりますが、どちらも子供の健やかな成長や、家族の幸せを祈る縁起の良い食べ物ということには変わりありませんので地域やご家庭に合った食べ物でお祝いをするのが良いでしょう。どちらか一方でも、どちらも食べてお祝いしても良いと思います。

この記事ではこどもの日に食べられているちまきや柏餅などの縁起の良い食べ物の意味や由来について解説していきたいと思います。

こどもの日にちまきを食べる意味や由来

ちまきを食べる意味

ちまきは古くからけがれや厄を払うと言われる食べ物として、節句の際にはよく食べられてきました。現在では、特に端午の節句で食べる食べ物として定着しています。
ちまきは、日本では笹にもち米で作ったおこわやお餅を包んだ食べ物ですが、ちまきを食べる習慣が始まった中国ではもともと、邪気を払う物とされていた「茅(ちがや)の葉」で巻いていたため、「茅巻き(ちまき)」と呼ばれるようになったと言われています。日本に伝わった際に笹などの葉で包まれるように変化していますが、けがれや厄を払う食べものとしての意味は変わりませんでした。

現在のちまきの中身は、地域によって異なります。関西ではもち米で作ったお餅や葛餅などが包まれ、関東ではもち米で作ったおこわが包まれていることが多いようです。

ちまきを食べる由来

端午の節句でちまきを食べる習慣が始まった中国で、ちまきがけがれを払ってくれる食べ物とされているのは、ある故事が由来とされているためご紹介します。
昔、中国で国王に仕え、国民からも人気のあった英雄が、国王に反発したとされ、国を追われ、絶望の末に川に身を投げ、亡くなりました。そのことを知った国民たちが、亡骸が魚に食べらないようにと、餌としてけがれを払う意味がある5色「赤、青、黄、白、黒」の糸で結んだちまきを、川に投げ入れ、彼を供養しました。その後、人々はその英雄の命日にちまきを食べるようになり、ちまき=けがれを払う食べ物とされるようになりました。
この命日が端午の節句の時期であったため、端午の節句にはちまきを食べ、けがれを払う習慣が定着したのです。

その後、奈良時代に日本に端午の節句が伝わった際に、ちまきを食べ、けがれや厄を払うという習慣も一緒に伝わり、現在まで定着しています。

こどもの日に柏餅を食べる意味や由来

柏餅を食べる意味

柏餅には子孫繁栄を願う意味があります。柏餅に使われる柏の葉は、新しい葉が出ないと、古い葉が落ちないため、子供が生まれるまで親が死ぬことがない、家が途絶えることがないという意味を持った、縁起の良い物とされていました。そのため、この柏の葉でお餅を包んだ柏餅は、子孫繁栄を願う食べ物として、子供の成長を願う節句の日に食べられるようになったのです。
また、柏の木は昔、神様が宿る神聖な木と考えられていたため、その葉を使った柏餅を食べることで神様に祈願する意味もあります。

柏餅を食べる由来

端午の節句で柏餅を食べる習慣は江戸時代に武家で始まったと言われています。武家では、後継の子供が生まれなければ存続ができなくなってしまうため、男の子の誕生や健やかな成長を祈る端午の節句の際に、柏餅を食べることで、後継の誕生や、我が子が元気に健康に育つことを祈るようになりました。その後、この風習は庶民の間でも広まり、江戸を中心に定着していきました。

こどもの日に関西=ちまき、関東=柏餅を食べる理由

こどもの日に食べられているちまきや柏餅ですが、一般的にちまきは関西で、柏餅は関東で多く食べられています。関西でちまきが広く定着しているのは、ちまきが中国から伝わった奈良時代に都があったからであり、関東で柏餅が広く定着しているのは、柏餅が江戸時代に関東の武家の間で食べられるようになったからです。

ちまきを食べる習慣は、初めは宮中で定着し、近畿地方を中心に徐々に人々に広まっていきました。後に関東にもこの習慣は広まっていましたが、跡継ぎが重要だった江戸の武家社会で、柏餅を食べる習慣が生まれました。江戸では子孫繁栄を願う柏餅の方が重宝されたことから、ちまきから柏餅を食べる習慣へと変化していったのです。伝統を重んじる関西では、この江戸の柏餅が広まることはなかったため、現在の地域差が生まれました。

ちまきと柏餅はどちらも子供の健やかな成長を祈る端午の節句にふさわしい縁起の良い食べ物です。どちらかを食べても、どちらも食べても良いでしょう。

その他のこどもの日に食べる縁起の良い食べ物

こどもの日には、ちまきや柏餅以外にも食べると縁起が良いと言われる、お祝いに相応しい食べ物があります。
それは【ブリやカツオ】です。ブリやカツオは5月頃が旬の魚のため、端午の節句では昔からよく食べられてきました。
ブリは大きくなるに従って、イナダ→ワラサ→ブリと名前が変化する「出世魚」であるため、子供の健やかな成長と出世を願い、食べられるようになりました。同じ出世魚のスズキを食べ、お祝いをする地域もあります。
カツオは「勝男」とかけられ、男の子の行事の端午の節句では縁起の良い食べ物として、食べられるようになりました。

 

こどもの日や端午の節句に食べるちまきにはけがれや厄を払う意味があり、柏餅には子孫繁栄を願う意味があります。細かい意味は異なりますが、どちらも子供が健康に元気に育ち、家族が幸せでいられますようにと願う意味が込められた、子供のためのお祝いの行事にふさわしい、縁起の良い食べ物です。
一般的にちまきは関西で、柏餅は関東で食べられていますが、どちらか一方でも、両方を食べてお祝いをしても良いでしょう。

大切なのは子供を大切に思い健やかな成長を願い、家族みんなでお祝いをすることです。地域やそれぞれの家庭に合った物で、こどもの日のお祝いができると良いと思います。

 

■関連記事:こどもの日と端午の節句の意味と由来|もともと別の行事だった

こどもの日と端午の節句は、別の行事であることをご存知でしょうか。こどもの日に食べるイメージの柏餅やちまきですが、もともとは端午の節句のお祝いの食べ物でした。端午の節句と同じ5月5日が、子供の日と制定された大正時代以降に、こどもの日の食べ物としても定着したのです。

こどもの日と端午の節句の違いや由来について、詳しく解説している記事がありますので、こちらもぜひチェックしてみてください。

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こどもの日と端午の節句の意味や由来|もともとは別の行事だった

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